書籍詳細

眼科マイクロサージェリー 第6版

監修=永田 誠(永田眼科名誉院長)
編集=黒田真一郎(永田眼科理事長・院長)
木村英也(永田眼科副院長)
溝口尚則(溝口眼科院長) 
寺内博夫(寺内眼科院長)
松村美代(永田眼科・関西医科大学名誉教授)

A4版

774頁

ISBN978-4-86034-595-2

2010年10月発行

書籍 定価37,800(本体35,000円+税) 数量
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立ち読み パンフレット
本書概要

眼科手術のすべてがわかる1冊

永田先生の術式の集大成

その伝統は永田語録や初版からのコメント記事に収載

◆眼科すべての術式の全面的な改訂、最新技術も網羅
◆臨床の貴重な写真とわかりやすいイラストを多数収載!
◆角膜内皮移植術、穿孔性眼外傷、硝子体内注射などの項目も追加
◆“これを読むだけでも毎回購入する”との好評を得る、初版から書き足されてきた「コメント記事」は必見!

【第6版改訂にあたって】

この度,第6版として『眼科マイクロサージェリー』を改訂することになりました。手術書として「時代に沿った内容を提供すること」が宿命づけられていることを考えますと,この改訂は予測されていたとはいえ『もうそんな時期が来たか』という印象です。忙しく毎日を過ごしていると,時の流れの早さに驚きますが,まだまだ元気な永田先生の手術に対する思いを次の世代の若い先生方に是非伝えたく思い,今回も我々永田眼科関係者を中心に改訂作業に当たらさせていただきました。


第5版出版から今日までの手術手技としての変遷を考えますと,大きく変わった分野と基本的に変わっていない分野があり,変わった分野においては,第5版の時と同様にその分野でのエキスパートの先生方に新たに執筆をお願いしました。各分野において,現在で最も患者にとって有益な術式が紹介できたものと確信しています。また,最近では研修指定病院でも全ての手術を行う機会が少なく,若い先生方の中には専門的な施行数自体が少ない手術は全く見る機会もなかったということもよく耳にします。『眼科マイクロサージェリー』は,「これまでに経験のない先生方でも,その解説の通りに進めていけば手術が出来る」という方針で解説していただいていますが(手術はそれ程甘くはないのも事実ですが,手術に対する術者の持つこだわりが伝われば,少しでもその手術に近付けるものと考えられますので),そのような初めて経験する術者にも理解し易く解説されていますので是非活用していただければと思っています。


手術という,術者が与えられた,人間を造り換えるという行為が,お互いが幸せになるという原則のもとで成り立たねばならないことが必然であることを考えますと,『眼科マイクロサージェリー』を読んでいただいた先生方には永田先生の理念である『患者に不利なことは行ってはいけない』という思いを引き継いで行ってもらいたいと願っています。

2010年8月 黒田真一郎

【目次】

Ⅰ.眼科手術の基本

Ⅱ.涙器・眼瞼・外眼筋手術

Ⅲ.角膜・結膜手術

Ⅳ.白内障手術・屈折矯正手術

Ⅴ.緑内障手術

Ⅵ.網膜・硝子体手術

Ⅶ.その他の手術

書評 評者:三宅養三(愛知医科大学理事長)

手術技術や周辺機器の使用法を学べるだけではなく、手術を行う人の良心を磨く上でも、必読の書

永田誠先生の監修、黒田真一郎先生以下5名の永田門下の先生方の編集で「眼科マイクロサージェリー 第6版」が出版された。世界にいろいろな眼科手術の教科書が出版されているが、過去にこれだけ多くの増版を重ねた例は皆目ないだろう。それだけではない。1985年の初版から2005年の第5版まですべてがベストセラーである。恐らく2010年の第6版も多くの人々に読まれることであろう。これはまさに特筆すべきことで、その"秘密"を考えながらこの書を読むだけでもおもしろいし、十分に読む価値がある。
私はこの書の第4版、第5版、第6版の3回にわたり書評を書かせていただき誇りに思っているが、上記した"秘密"を最初から意識していた。その基幹となるものは、永田誠先生の手術理念であることは間違いない。初版で荻野誠周先生が編集者を代表して述べておられるように、永田誠先生の「患者の眼にとって不利なことは一切しない」という一貫した理念は、いろいろな手術法、考え方の返還はあったものの、第6版に至るまですべて貫かれていることが伝わってくる。第5版から永田門下ではない執筆者を加えておられるが、おそらくその人選で一番大切な基準は、この理念を持っているかどうかではなかったかと推察する。学会、論文、個人的会話で人それぞれのこの理念の持ち合わせの程度は、大体感じ取れるものである。その意味でこの名著は手術技術や周辺機器の使用法を学べるだけではなく、手術を行う人の良心を磨くうえでも、必読の書である。
もうひとつの"秘密"は、この書の名物である"コメント"を初版から追って読んでみると浮かび上がってくる。25年間の手術の発展を背景に、多くの手術法や考え方をその発展に柔軟に対応させつつ取り入れてきたわけであるが、そこには常に理論の裏付けがある。それがこの"コメント"に対話形式で示されている。まさに手術学を学問として捉える永田塾の思想が、この"コメント"に秘められているのである。永田誠先生の電気生理学の研究を熟知している評者には、この永田塾の一貫した姿勢はむしろ当然と思えてならない。眼科手術が続く限り、永久にこの書が増版され続けることを祈っている。

「臨床眼科」第65巻第1号 2011年(医学書院)より転載

書評 評者:山下英俊(山形大学医学部眼科学教授)

眼科医として手術をすることを技術論のみでなく、眼科診療の体系の中からじっくりと考えながら読ませる本

本書は眼科マイクロサージェリーのすべてを盛り込んだ決定版としての手術書にとどまらない記念碑的な書物であると考える。眼科手術は近年の科学技術の進歩に伴って、ともすると基本的な考え方、手術の基本を素通りして技術論に走らないとも限らない危うさを内包しつつある。それは、本書の第1版が上梓された1985 年当時は技術の進歩、病態研究の途上であり、たとえば硝子体手術などは大変な修行を経た術者の技量でカバーする部分が大きかったよると思われる。しかし、近年は術者の技量が未熟でも、症例によっては手術を遂行しうるようなテクノロジーの進歩があるように考える。ある意味では「名人芸」といったものに依存せず、高いレベルでの手術を多くの術者が獲得できるようになったことにも通じるので大変良いことであるが、反面、手術を基本からきちんと勉強し考えながら手術の適応を選び、術式を選び、その結果を科学的に検証して次の時代の進歩へ、今は治療できないが次の時代には克服するという眼科手術研究のモチベーションを脆弱なものにする危険性も秘めている。

本書の真骨頂は、眼科医として手術をすることを技術論のみでなく、眼科診療の体系の中からじっくりと考えながら読ませる本となっていることである。読者はまず、ぜひ、序文を一読していただきたい。荻野誠周先生の第1版序、永田 誠先生の第2版監修のことば、沖波 聡先生の第2版序、永田先生の第3、および4版改訂にあたって、松村美代先生の第5版改訂にあたって、そして黒田真一郎先生の第6版改訂にあたって、それぞれに大切な哲学が語られている。特に、荻野先生の序で述べられている「患者の眼にとって不利なことは一切しない」という永田先生の手術に対する姿勢、松村先生の「天理病院や永田眼科で師(永田先生)といっしょに働いた時は、一日中みんなで患者さんの眼の話をしていた」という眼科教育の基本、眼科手術のみでなく臨床医学の最も大切な哲学が語られている。このようなメッセージはいわば「眼科手術概論」にあたる部分(I.眼科手術の基本)にも詳しく述べられている。読者はぜひ、この部分は読み飛ばさないで通読してほしい。これは以下の章に当てはまるが、座談会記録の「コメント」はこれまでの版の分も載録されていて、時代の変遷も分かり興味深いだけでなく、コツといったものが満載で自分の症例に引き当てて読むと勉強になる。

各論に当たる、II.涙器・眼瞼・外眼筋手術~VII.その他の手術に至るまでの章は、眼科手術の百科事典といった項目立てであり、この一冊で、すべての眼科手術を学ぶことができる。教科書として通読しても、百科事典として明日の手術の準備のために必要な部分を読んでも読者の要望は達成されると考える。後者にあたる読み方をする場合、術者が知りたいことがかゆいところに手が届くように記述してあり、写真が豊富で自分の手術を見直して手術を反省するのにも使えるであろう。前者に当たる読み方をする場合、前にも述べたが手術の技術論のみでなく、手術の基礎になる眼科学の知見が、最新の文献を入れた文献リスト、多くの美しい図とともに記述されている。たとえば、緑内障手術の歴史的展望(V.緑内障手術)や黄斑円孔の病態についての記述(VI.網膜・硝子体手術)など多くの情報が盛り込まれ手術を深く理解する助けになる。時間があるときにじっくりと読むことで臨床医としての知識がより確かなものになり、これがひいては患者さんにとって不利なことは一切しない永田先生の臨床医としてのすぐれた手術、診療につながると考える。

以上のように読者が待ち望んだ眼科手術の決定版としての「眼科マイクロサージェリー第6 版」をぜひ、多くの眼科医、特にこれから眼科手術を習得していく若い眼科医に読まれることを心から願っている。

「あたらしい眼科」第27 巻第12 号 2010 年(メディカル葵出版)より転載