書籍詳細

エビデンスに基づく実践麻酔科学

著=Lee A. Fleisher/監訳=稲田英一(順天堂大学医学部麻酔科学・ペインクリニック講座教授)

A4判

520頁

ISBN978-4-86034-861-8

2008年06月発行

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エビデンスに基づく医療の重要性が強調されるようになって久しい。本書はエビデンスを並べただけで読者を置き去りにするのでなく,与えられた情況でその分野の専門家ならどうするかを述べ,それはなぜかを説明している。日常臨床の場において判断に困った時や,麻酔科専門医として期待される知識の整理に役立つ一冊。専門医試験を受験する麻酔科医にも推奨できる必携書。


本書の概要(監訳者序文より抜粋)

第1章では、米国麻酔科学会(American Society of Anesthesiologists:ASA)が、どのようにしてスタンダードやガイドラインを作成しているかについて述べてある。私たちがASAのみならず、他の学会が定めたスタンダードやガイドラインなどについてどのように扱うべきかについてのよい手掛かりとなる。それに続く章では、私たちが日常臨床を行う上で、おそらく毎日直面するであろう70の問題について述べられている。大きく、術前準備、周術期管理、区域麻酔、モニタリング,心臓血管麻酔、脳神経外科麻酔、産科麻酔、小児麻酔、疼痛管理の領域に分けて述べられている。すべての麻酔に共通すると思われる術前準備や周術期管理では、本書の半分以上を占める40の問題について解説されている。



目 次

I. イントロダクション

1章 エビデンスに基づいた診療ガイドライン―ASA(米国麻酔科学会)のアプローチ

II. 術前準備

2章 ルーチン検査はアウトカムに影響するか?
3章 術前にヘモグロビン濃度は常に測定するべきか?
4章 術前のルーチンな妊娠検査は必要か?
5章 術前のスクリーニングクリニックは手術室運営に効果的か?
6章 術前12誘導心電図はどの患者で必要か?
7章 術前肺機能検査はどのようなときに行うべきか?
8章 気道の診察により,挿管困難を予想できるか?
9章 閉塞性無呼吸患者の最適な評価法は何か?
10章 禁煙の最適期間はあるのか?
11章 予防的冠血行再建術は心臓合併症を減少させるか?
12章 周術期を通じて降圧薬治療は継続すべきか?
13章 喘息患者にステロイドを含めた術前薬物投与は行うべきか?
14章 自己血貯血は費用効果が高いか?

III. 周術期管理

15章 困難気道(Difficult Airway)の病歴は,覚醒下の気道管理を必要とするか?
16章 困難気道(DA)が予想される症例では,区域麻酔または全身麻酔のどちらを選択するべきか?
17章 悪性高熱症素因をもつ患者への理想的なアプローチはあるか?
18章 ラテックスアレルギーの適切な周術期の管理とは何か?
19章 何が誤嚥のリスクを減少させるか?
20章 誤嚥に対する最適な治療法は存在するか?
21章 術後悪心・嘔吐を防ぐ最良の戦略は何か?
22章 大手術での輸液製剤選択は重要な問題か?
23章 選択する筋弛緩薬により予後は影響されるか?
24章 周術期の正常体温維持は有用である
25章 周術期グルココルチコイド補充はどのような場合に行うべきか?
26章 β遮断薬はルーチンに非心臓手術に使用すべきか?
27章 α2受容体作動薬は非心臓手術における周術期心合併症減少に対して効果的か? 
28章 周術期の高血糖は,術後合併症の危険性を増加させるか?
29章 周術期の腎機能不全を防止する最も有効な手段は何か?
30章 急性呼吸促迫症候群の治療には何が有効か?
31章 最適な術前ヘモグロビン濃度は存在するか?
32章 急性等容積性血液希釈は費用効果が高いか?
33章 どのような薬物が術後の血液を減少させるか?
34章 フォンダパリヌクスナトリウム―手術を受ける患者での効果と安全性の検証
35章 術中記憶を予防できるか?
36章 末梢神経傷害を予防するためにできることは何か?
37章 より早期の回復を可能にする全身麻酔法はあるか?
38章 日帰り手術における全身麻酔の選択
39章 日帰り手術での退室および退院にはどのような基準を用いるべきか?
40章 閉塞性睡眠時無呼吸患者の最適な術中,術後管理とは何か?
41章 集中治療専門医の設置は患者の治療成果を改善するか?

IV. 区域麻酔

42章 股関節手術において区域麻酔は全身麻酔より優れているか?
43章 多発性硬化症患者に脊髄くも膜下麻酔を行ってよいか?
44章 抗血小板薬を使用している患者において区域麻酔は安全か?
45章 区域麻酔は周術期出血量を減少させるか?
46章 末梢神経ブロックに他の薬物を添加するべきか?
47章 脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔とヘパリンの併用による深部静脈血栓形成に対する予防への最良のアプローチ
48章 ビタミンK拮抗薬と脊髄くも膜下麻酔および硬膜外麻酔
49章 薬草・ハーブ薬品と脊髄くも膜下麻酔
50章 硬膜穿刺後頭痛の最良の管理法は何か?
51章 どのような場合に硬膜外血液パッチは適応となるか?
52章 区域麻酔は日帰り手術に適しているか?

V. モニタリング

53章 肺動脈カテーテルは非心臓手術の予後に影響するか?
54章 手術中の神経モニタリングは予後に影響するか?
55章 周術期心筋梗塞を診断する最良の方法は何か?

VI. 心臓血管麻酔

56章 心拍動下冠動脈バイパス術は人工心肺下冠動脈バイパス術に比べ優れているか? 
57章 ファーストトラック心臓麻酔は安全か?
58章 冠動脈バイパス術と頚動脈内膜切除術のどちらを優先させるべきか,あるいは同時に施行するべきか?
59章 区域麻酔は下肢の血管再建術において全身麻酔よりも優れているか?
60章 頚動脈内膜切除術は,麻酔法により周術期合併症発症率および死亡率に違いがあるか?

VII. 脳神経外科麻酔

61章 虚血性脳卒中後の手術時期
62章 頭蓋内圧亢進患者に対する最良の管理方法とは?

VIII. 産科麻酔

63章 硬膜外鎮痛は分娩結果に影響を及ぼすか?
64章 帝王切開の麻酔は区域麻酔と全身麻酔のどちらで行うべきか?
65章 麻酔は非産科手術を受ける妊婦のリスクを増大させるか?


IX. 小児麻酔

66章 スキサメトニウムは小児に対し使用すべきか?
67章 日帰り手術は何ヵ月の乳児まで可能か?
68章 呼吸器感染のある小児に予定手術を行ってもよいか?


X. 疼痛管理

69章 先行鎮痛は臨床的に効果的か?
70章 硬膜外鎮痛はIV-PCAより優れているか?
71章 最適な術後鎮痛法