書籍詳細

多焦点眼内レンズ

著=ビッセン宮島弘子(東京歯科大学水道橋病院眼科教授)

B5判

200頁

ISBN978-4-86034-588-4

2008年06月発行

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本邦初!多焦点眼内レンズのすべてがわかる実践書!!

著者の豊富な経験によるノウハウを,実際に多焦点眼内レンズを使用する医師のみでなく,一般の眼科医およびスタッフが数日で学べる内容を目指した。
多焦点眼内レンズの「基本」「適応」といった,これから導入を検討される医師に役立つ内容から「問題例への対応」「良好な結果を導くための工夫」「すでに実践している医師へのアドバイス」また「今後登場する新しいレンズの紹介」など,美しいカラー写真と豊富な症例でわかりやすく解説。
各章の最後には当代一流の専門家によるコラムを掲載し,多焦点眼内レンズに関するトピックを紹介。


序文


京都府立医科大学教授 木下 茂

 多様化した患者のニーズのなかで,白内障手術とともに老視も治したいという願いは極めて大きい。場合によっては,老視だけであっても,これを治したいというのは,中高齢者の切実な思いである。20 代あるいは30 代の人には理解できないであろう感覚である。しかし,自身がその歳を迎えると,遠方視と近方視に問題が生じ焦燥感を抱くようになるはずである。果たして,この問題を解決すべく,多くの試みがなされている。その一つ,そして最も成功しているのが多焦点眼内レンズである。この多焦点眼内レンズを用いる白内障手術は,レンズの持つ光学特性への正確な理解という科学的な側面とともに,患者のニーズを正確に把握し事前に説明するという対人的な側面を持っている。したがって,多焦点眼内レンズは,多くの患者に喜ばれる一方で,一部の患者に感情的しこりを残す可能性もあるのである。
多焦点眼内レンズは古くて新しい概念である。そこで必要とされるのは,手術手技でもなければ,創傷治癒に関する知識でもない。眼科で最も基本とされる眼光学,そして医療で最も大切とされるインフォームドコンセントである。さらには,医療倫理も含まれるかもしれない。というのも,遠視の患者に対しても,clear lens extraction を行い,十二分な満足感を提供することが可能であり,また,術後の微妙な屈折ずれに対してLASIK によるタッチアップで対応することも可能となる。何処までが医学的治療であるか,その境界は微妙となり,各医師のもつ医療倫理に依存する部分が大きくなってくるのである。
さて,本書は,ビッセン宮島先生が8 年前に書き下ろした単著「LASIK」のいわば姉妹版とも言える。筆者の豊富な臨床経験,日常生活の中で大きな犠牲を払いながら作り出した時間,そして何よりも多焦点眼内レンズの正しい普及への著者の思い,が成した業である。単著のすごさは,文面からだけではなく,行間から伝わる著者の思いを感じられるところである。ソロリストの演奏を聴くような心地よいコーディネーションを各章で感じられるところである。超多忙な日々のなかで,めったにお目にかかれなくなった単著を完成させた著者には,エールを送るとともに,凄いと感嘆せざるを得ない。とはいうものの,コラムと題して,当代一流の専門家のことばの寄稿により,華やかさとともに客観性を持たせているところに,著者のバランス感覚の良さを感じさせる。
本書は,多焦点眼内レンズに関する歴史から始まり,患者へのインフォームドコンセントに至るまで記載されており,辞書のようなデータと記載内容の正確さ,そして実践面での配慮が一貫した基調で流れている。「LASIK」で得た本作りのノウハウも盛り込まれており,著者の第二弾の「中級編」と認識している。将来,眼内レンズ・屈折手術に関する第三弾の「上級編」が登場することを期待する次第である。

 


目 次

基礎編

第1章 多焦点眼内レンズの変遷
第2章 眼科医に必要な基礎知識  
第3章 各多焦点眼内レンズの特徴
第4章 臨床成績

臨床編

第5章 術前検査と適応判断
第6章 インフォームドコンセント
第7章 実際の挿入
第8章 術後検査

応用編

第9章 術後不満例への対処
第10章 適応の拡大
第11章 症例から学ぶ多焦点眼内レンズの実際
第12章 今後の展望

コラム

1 多焦点眼内レンズ雑感(清水公也)  
2 多焦点コンタクトレンズの現状(梶田雅義)
3 白内障治療の目的と多焦点眼内レンズ(大木孝太郎)
4 理想的な多焦点眼内レンズについて(三宅三平)
5 多焦点眼内レンズの術前・術後検査(林 研)
6 模擬眼の網膜像写真を用いた多焦点IOLの説明(谷口重雄)
7 後発白内障を減らすには?(黒坂大次郎)
8 多焦点眼内レンズで大切な視機能検査(根岸一乃)
9 乱視矯正のこれまでとこれから(宮田和典)
10 アンチエイジング医学はサイエンスになるか?(坪田一男)
11 多焦点眼内レンズ導入ABC(ビッセン宮島弘子)