書籍詳細

エビデンスに基づく整形外科徒手検査法

Orthopaedic Clinical Examination: An Evidence-Based Approach for Physical Therapists

著=Joshua Cleland/監訳=柳澤 健(首都大学東京健康福祉学部理学療法学科教授)/赤坂清和(埼玉医科大学保健医療学部理学療法学科教授)

B5判

524頁

ISBN978-4-86034-895-3

2007年08月発行

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筋骨格系の障害をもつ患者を評価する臨床家にとって、整形外科での多様な検査の妥当性を見極める際に有用な一書であり、筋骨格系の評価と治療に関連する授業に活用できる有用な参考書でもある。また、Netter博士による解剖学図を多用している。


“日本語版序文”


近年まで整形外科における臨床検査法は, EBP ( evidence-based practice :根拠に基づく診療・検査法)の歩調に必ずしも伴っているものとはいえなかった。整形外科や理学療法の臨床検査のテキストでは,診断や評価の正確さを曖昧にしたまま,多数の検査・測定を繰り返し使用してきたかもしれない。そこには EBP の考え方がさほど根付いていなかったからであろう。しかし,本書では,整形外科や理学療法の検査・測定法の信頼性(再現性)について統計学的な値を示したうえで, A ・ B ・ C の検査法各々の信頼性を導出し,検査法の拠となるエビデンスを構築している。
1 章「整形外科臨床検査の信頼性と診断学的有用性」(統計学的解説を含む), 2 章「臨床検査・測定と診断学的有用性に関する論文の分析」, 3 章~ 12 章では各関節・部位別の詳細な解剖図が提供されているだけでなく,筋の起始・停止や髄節・支配神経・筋作用が表にまとめられ,さらに検査・測定法の信頼性・有用性を統計学的に明らかにし,具体的な検査手技が示されている。
原著者の J. Cleland 博士は米国の理学療法士で,フランクリン・ピアース大学の理学療法学科准教授を務め,米国理学療法士協会から整形外科臨床スペシャリスト( Orthopaedic Clinical Specialist : OCS )の認定を得ている。
また,本書では美しいイラストが目を引く。世界的に著名な F. H. Netter 博士による解剖学図が多用されている。医療人でネッターの解剖学イラスト図を見たことがない人はいないといわれるほどの権威者である。監訳者も解剖学教室に数年の間,籍を置いた立場からみても,「ネッターのイラストはサイエンスでありアートである」ということを実感する次第である。 

柳澤 健

目 次

1章  整形外科臨床検査の信頼性と診断学的有用性
2章  臨床検査・測定と診断学的有用性に関する論文の分析
3章  顎関節
4章  頸 椎
5章  胸腰椎
6章  仙腸領域
7章  股関節と骨盤
8章  膝関節
9章  足関節と足部
10章  肩関節
11章  肘関節と前腕
12章  手関節と手

付 録:整形外科領域における理学療法検査の追加
FRANK H. NETTER について