書籍詳細

プライマリ・ケア用語集

編集=日本プライマリ・ケア学会

B6判

202頁

ISBN978-4-86034-539-6

2005年06月発行

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プライマリ・ケアに関する基本的用語や関連用語に新しい外来語も加えて分かりやすく解説。総合診療・家庭医療の分野を含む640語を収載。保健・医療・福祉領域従事者必携書。


発刊にあたって


このたび,日本プライマリ・ケア学会では,2005年世界一般医・家庭医学会アジア太平洋学術会議(於 国立京都国際会館)を記念して,『プライマリ・ケア用語集』を刊行することになりました。
プライマリ・ケアは,WHOが示した「Health for all‐すべての人々に健康を‐」を共通の理念とする世界共有の言葉でありながら,わが国としては必ずしも社会的に認知された言葉とはなっていません。一方,新医師臨床研修制度の目標として,プライマリ・ケアにかかわる基本的診察能力を身に付けるとあり,プライマリ・ケアの重要性が指摘されています。
今,わが国では社会の発展と改革の中で医療・保健・福祉についても外来語を含めて,新しい言葉が次々と生まれています。プライマリ・ケアにかかわる言葉も同様で,その中には共通の認識や理解の下に記述されたり,述べられていないものが少なくありません。一般化しつつある言葉でも,使う人によって異なった使われ方があり,時には混乱していることもあります。
このような背景を受けて,日本プライマリ・ケア学会では,プライマリ・ケアにかかわる基本的用語と,関連した用語に新しい外来語も加えて,それぞれの意味を分かりやすく解説する用語集としてまとめてみました。学会としても初めての試みであり,用語の選定やその解説内容についてより充実するよう努力するつもりですが,本書を通して医療や保健そして福祉の仕組みや在り方について理解をいただき,また国民のプライマリ・ケアへの関心を高めていただくことができれば幸いだと思います。
本書が会員を含め多くの方々の座右に置かれ,折に触れて活用されることを願っています。
本書の発刊に当たり,多大なご尽力をいただいた多くの執筆者,編集委員の皆様に深く感謝の意を表します。ならびに,出版に当たって,格段のご努力をいただいたエルゼビア・ジャパン株式会社の皆様に厚く御礼申し上げます。

2005年4月
日本プライマリ・ケア学会 会長
小松 真


 

監修のことば


日本プライマリ・ケア学会にとって懸案であった『プライマリ・ケア用語集』が刊行の運びとなったことは,大変意義深いことです。学問領域が確立するために,そこで用いられる用語の意味や概念が明確であることが基本であるからです。そもそも「プライマリ・ケア」という用語そのものが,わが国の医療界全般に必ずしも十分に認知されていない状況が残る中で,本用語集を通じて学会員のみならず広く医療人が,プライマリ・ケアに関する用語を適切に理解してこの領域の論議を深めることにより,医療においてプライマリ・ケアが本来の役割を発揮することが強く期待されます。このような思いから本書が企画されましたが,刊行に至るまでには編集委員会の皆様をはじめ,多くの執筆者の方々の多大なご協力をいただきました。プライマリ・ケアの領域は多岐にわたるところから,取り上げた用語も相当数に上りました。用語の中には字数の制約で十分に意が尽くされていないところも見受けられますが,基本的な理解を得るためには十分に役に立つものと思われます。
社会が成熟して医療を受ける立場と医療を提供する立場の関係が大きく変化し,また社会保障そのものを支える制度も大きな見直しを迫られています。時代の転換期に当たって,プライマリ・ケアの意義と役割はますます大きくなりつつあるといえます。医師のみならず多くの医療関係者が,それぞれの立場で協力しなければこの転換期を乗り越えることは困難であると思われます。限られた専門家による検討だけでは不十分であり,真に包括的で適切に連携の図られた取り組みが必要であるのがプライマリ・ケアであり,それを実現するためにも問題の共通理解と相互認識が必須です。この『プライマリ・ケア用語集』がそのために十分に活用されることを強く望みます。

2005年4月

日本プライマリ・ケア学会 医学会会長
大道 久


編集にあたって


春爛漫の季節に,やっと最終原稿を上梓しました。新緑の京都でのWONCA Asia Pacific 2005の開催を目前に控え,安堵の思いを新たにしたところです。
この用語集は,用語の選択を病院や診療所を中心とした医療分野にとどめず,地域や高齢者・小児まで広く保健・福祉の領域から,ホットな医学教育用語の範囲まで広げて厳選いたしました。医師のみならず多くの医療関連職種の方たちにお役に立てるものと確信しております。
本用語集の性格といたしましては,日本プライマリ・ケア学会が昨年編集・刊行しました『日本プライマリ・ケア学会基本研修ハンドブック‐プライマリ・ケア医の一日』(南山堂),『プライマリ・ケア実践ハンドブック』(エルゼビア・ジャパン)との3部作の一つを構成し,卒後臨床研修中の若手医師のみならず「プライマリ・ケアとは何か」を知りたい多くの医師の方もこれらを学習用の座右の友とされ,ご利用されることを願ってやみません。
編集に従事しての印象ですが,わずか200字のスペースに重い内容の概念を凝縮していくのは,各執筆者の方々にとっても大変なことであったろうと痛感いたしました。単語と単語の記述様式・記載内容を考慮して統一感を出すために執筆者の方々には,しばしば変更をお願いしました。どなたにもこれを快くお引き受けいただいたことを深く感謝申し上げます。
膨大な作業量のためエルゼビア・ジャパン株式会社の担当の方々には,多くの労苦をおかけしました。末尾ながら謝意を述べさせていただきたいと存じます。
ご利用された多くの方々からのコメントをお待ちしております。

2005年4月
新潟県立看護大学 教授
吉山 直樹


[掲載用語]

<あ>
アーリーエクスポージャー/ITT解析/アウトカム評価/アクセスフリー/アジテーション/アセスメント/UpToDate/アドヒアランス/アドボカシー/アドミニストレーション/アメニティー/アルコール依存症/アルツハイマー型老年痴呆/アルマアタ宣言/安全衛生委員会/安楽死/医学モデル/育児・介護休業法/育児相談/育成医療/医原性疾病,医原性/医師賠償責任保険/医事紛争/医師法/移送サービス/一次アウトカム/一次医療,初期医療/一次予防/一般医,ジェネラルプラクティショナー/一般病床/1分間プリセプティング法/遺伝相談/医の倫理/イベント発症率/意味のある陰性症状(所見)/意味のある陽性症状(所見)/医薬品情報活動,DI業務/医薬品情報検索システム/医薬品副作用被害救済制度/医薬分業/医療家系図/医療過誤/医療関係職種/医療供給体制/医療計画/医療経済学/医療券/医療圏/医療サービス/医療資源/医療事故/医療施設/医療施設間連携/医療需要/医療ソーシャルワーカー/医療のグローバルスタンダード/医療の質/医療の社会化/医療評価/医療法/医療法人/医療保険制度/医療面接/医療要否意見書/インシデントアクシデントレポートシステム/陰性感情/陽性感情/院内感染/院内感染対策/院内処方/院外処方/インフォームドコンセント,説明と同意/後ろ向き研究/うつ病予防/上乗せ横出しサービス/運動処方/運動療法/エイズ対策/栄養指導,食生活指導/エピソード/MDS-HC方式/エンゼルプラン/エンパワーメント/延命医療/往診/OJT/オーダリングシステム/オープンエンディッドクエスチョン/オタワ憲章/オペラント条件付け/音楽療法/温泉療法/温熱療法
<か>
海外医療協力/開業医承継支援事業/外国人医療/介護サービス計画,ケアプラン/介護支援サービス,ケアマネジメント/介護支援専門員,ケアマネジャー/介護認定審査会/介護福祉士/介護保険,公的介護保険制度/介護保険サービス/介護保険施設/介護療養型医療施設/介護力/介護老人福祉施設/介護老人保健施設/カイ2乗検定/解釈モデル/回想法/開放型病院/カウンセリング/かかりつけ医/家族円/家族カウンセリング/家族カンファレンス/家族システム理論/家族ライフサイクル/家族療法/学校医,校医/活動制限/家庭医/家庭医療/環境療法/患者‐医師関係,医師‐患者関係/患者教育/患者受療動向/患者紹介率/患者中心の医療/患者の権利/患者の自己決定権/患者負担金/患者満足度/感染症サーベイランス/感染症指定医療機関/感染症病床/感染症予防法/感染性廃棄物/感度,敏感度/癌の告知/カンファレンス/緩和ケア/キーパーソン/偽陰性/偽陽性/疑義照会/危険因子,リスクファクター/危険分析/記述研究/喫煙リスクと社会負担/機能(回復)訓練/機能障害/機能性食品/基本健康診査/基本的臨床能力/逆紹介/客観的臨床能力試験/救急医療/救急医療施設/救急救命士/95%信頼区間/救命救急センター/教育入院/協調性/居宅介護支援事業者/居宅支援サービス,在宅サービス/居宅療養管理指導/禁煙外来/禁煙支援/近接性/薬の相互作用/クライアント中心療法/クリティカルパス/クリニカルインディケーター/Clinical Evidence/クリニカルガバナンス/クリニカルクラークシップ,診療参加型臨床実習/グループカウンセリング/グループ診療/グループホーム,痴呆対応型共同生活介護/ケアの質/経過記録/経験的学習理論/継続性/傾聴/ケースマネジメント/決定(決断)の共有/健康運動指導士/健康ガイダンス/健康管理/健康教育/健康スポーツ医/健康増進施設/健康増進法/健康測定専門研修/健康手帳/健康日本21/健康保険/健康保険組合/健康保険法/健康問題/言語聴覚士/言語聴覚療法/検査前確率/研修医マッチング/健全母性育成事業/現物給付/高額療養費制度/広告規制の緩和/公衆衛生大学院/更生医療/構造的アプローチ/公的扶助/行動医学/行動科学的アプローチ/行動変容/行動療法/高度先進医療/公費負担医療制度/後方病院/公立病院/高齢化率/高齢社会対策基本法/高齢者世帯/高齢者総合機能評価/高齢者福祉/ゴールドプラン/ゴールドプラン21/国際協力機構/国際疾病分類,疾病および関連健康問題の国際分類/国際生活機能分類/国際保健医療/国民医療費/国民皆保険制度/国民健康づくり十カ年計画/国民健康保険,国保/国民負担率/Cochrane Library/個別援助/個別健診/集団健診/コホート研究/コミュニケーション技法,コミュニケーションスキル/根拠に基づく医療/混合診療/コンサルテーション/コンプライアンス
<さ>
サービス担当者会議/サーベイ/サーベイランス/災害医療/在宅医療/在宅医療ネットワーク/在宅介護支援センター/在宅ケア/在宅酸素療法/在宅総合診療料,在総診/在宅ホスピス/在宅療養指導管理料/作業療法/作業療法士/産業医/三次医療/三次予防/GCP,医薬品の臨床試験の実施の基準/GDS/死因統計/JCS/ジェネリック/ジェンダー,性差/歯科保健/支給限度額/自己学習/自己評価尺度/自助/共助/公助/施設サービス/失禁ケア/失行/実地医家のための会/質調整生存年/質的管理,クオリティーコントロール/質的データ/質的評価/質的保証/失認/疾病保険制度/指定訪問看護ステーション/至適基準/児童虐待,小児虐待/児童権利宣言/児童相談所/児童の権利に関する条約/死亡診断書/死体検案書/死亡率/社会医学/社会化/社会的支援/社会的入院/社会福祉協議会/社会福祉士/社会福祉施設/社会福祉法/社会福祉法人/社会保険/社会保険事務所/社会保険診療報酬支払基金/社会保険庁/社会保障/JAMA/自由開業医制/自由診療/保険診療/愁訴/集団療法/主治医/主治医意見書/受診理由/手段的日常生活動作/出生前診断/受動喫煙/ジュネーブ宣言/守秘義務/受療行動,保健行動/受療率/生涯学習/生涯教育/障害老人の日常生活自立度/症候群/少子高齢社会/状態不安・特性不安尺度/傷病手当金/症例検討会/症例集積研究/症例対照研究/ショートステイ/初期記録/初期計画/初期治療/食行動異常/食事療法/職場巡視/女性専門外来/女性の健康イニシアティブ/シルバーサービス/シルバー人材センター/シルバーボランティア/心気症/人口動態統計/心身医学/心身医学的アプローチ/心身症/心身障害者(児)/心身相関/診診連携/身体化,身体症状化/身体拘束/身体障害者手帳/身体症状/身体診察/身体的依存/診断/診断基準/診断書/心理的側面/心理的プロセス/診療ガイドライン/診療・看護要約/診療契約/診療圏/診療所/診療情報/診療情報開示/カルテ開示/心療内科/診療評価,メディカルオーディット/診療報酬/診療報酬明細書/心理療法/推論/スクリーニング/スタッフ/スタンダードプリコーション,標準予防策/ストレス/ストレスコントロール/スピリチュアルケア/生活関連動作/生活技能訓練/生活指導/生活習慣病/生活の質/性感染症の予防/性差医学(療)/政策医療/精神的ケア/精神病院,精神科病院/精神保健,メンタルヘルス/精神保健福祉士,精神科ソーシャルワーカー/精神保健福祉法/生存率/成年後見制度/生物医学モデル/生物‐心理‐社会‐医学モデル/生命倫理/世界一般医・家庭医学会/世界保健機構/セカンドオピニオン/セクシャルハラスメント/接遇/説明責任,責任性/セルフケア/前期高齢者/後期高齢者/全人的医療/専門医/専門医制度/臓器移植/臓器移植法/早期発見/早期治療/双極性障害/総合診療(部)/総合診療医/相互信頼関係/相対危険(度)/卒後臨床研修/卒前医学教育/尊厳死
<た>
ターミナルケア/ダイエット/第三者評価/体脂肪率/対診(医)/代替医療/大病院志向/脱病院化医療/WHO除痛ラダー/多変量解析/地域医療/地域医療計画/地域医療支援病院/地域ケア,コミュニティーケア/地域産業保健センター/地域診断/地域福祉/地域包括医療/地域保健/地域立脚型医学教育/地域リハビリテーション/チーム医療/痴呆,認知症/痴呆性老人の日常生活自立度/長寿科学研究推進十か年事業/長寿社会開発センター/手洗い/DRG/PPS/DPC/t分布/t検定/デイケア/デイサービス/出来高払い/電子カルテ/動機付け/東洋医学/トータルヘルスケア/トータルヘルスプロモーションプラン/特異度/特定医療法人/特定機能病院/特定疾患/特定非営利活動促進法,NPO法/特定療養費/特別医療法人/トリアージ

<な>
ナーシングホーム/ナショナルヘルスサービス/ニコチン依存/ニコチン代替療法/二次医療/二次予防/日常健康問題/日常生活動作/日常病/日本医師会/日本医療機能評価機構/日本家庭医療学会/日本国際保健医療学会/日本在宅医学会/日本専門医認定制機構/日本総合診療医学会/日本プライマリ・ケア学会/日本ホスピス・在宅ケア研究会/乳幼児健診/入浴サービス/任意後見契約/人間行動/認知機能障害/認知療法/寝たきり老人/脳血管性痴呆/脳梗塞後遺症/脳死/ノーマライゼーション/ノーム/ノブレスオブリージ

<は>
徘徊/排尿障害/廃用症候群/ハインリッヒの法則/白衣高血圧/パターナリズム/8020(ハチマルニイマル)運動/パニック障害/バリアフリー/バワーリハビリテーション/ピアカウンセリング/ピアレビュー,同僚評価/引きこもり/非言語的コミュニケーション,ノンバーバルコミュニケーション/避妊相談/ヒポクラテスの誓い/病院機能評価/病気解釈モデル/病気対処行動/被用者保険,社保/標準化死亡率/病床区分/病診連携/病病連携/標榜診療科/フィードバック/VDT症候群/福祉医療機構/福祉六法/服薬指導,服薬説明/不潔行為/不顕性感染/不定愁訴/プライマリ・ケア/プライマリ・ケア医/プライマリ・ケア教育目標/プライマリ・ケア教育連絡協議会/プライマリ・ケア国際分類/プライマリ・ケアチーム/プライマリナーシング/プライマリヘルスケア/プライマリヘルスケアの5要素/プライマリメディカルケア/ふるさと21健康長寿のまちづくり事業/プロフェッション/文脈/平均在院日数/平均余命/米国疾病管理センター/閉鎖療法/へき地医療拠点病院/Best Evidence/ヘルスケア提供者/ヘルスケアの必要性/ヘルスプロモーション/包括医療/包括性/包括的アセスメント/包括的ケア/包括払い/訪問介護/訪問看護/訪問看護指示書/訪問診療/訪問リハビリテーション/ポートフォリオ/ホームヘルパー/ホームヘルプサービス/保険医/保険医療機関及び保険医療養担当規則,保険医療養担当規則,療養担当規則/保健師/保健所/保健福祉センター/保険薬局/保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則/保健予防行動/母子健康手帳/母子保健/母子保健法/ホスピス/ホスピタリティー/ボディーマスインデックス/ホリスティック医療

<ま>
前向き研究/マネジメント/慢性疾患/見捨てられ妄想/民生委員/無医地区/無作為化比較試験,ランダム化比較試験/メタアナリシス,メタ分析/MEDLINE/模擬患者/モデルコアカリキュラム/モニタリング/物語に基づく医療/問題志向型システム/問題志向型診療録/問題リスト

<や>
薬剤師/薬事法/薬歴管理/雇い入れ時の健康診断項目/有酸素運動/有床診療所/無床診療所/有病率/ユニットケア/ユニバーサルデザイン/ユニバーサルプリコーション,普遍的予防策/要介護度/要介護認定,介護認定/陽性尤度比/陰性尤度比/抑うつ/予防医学/予防接種/予防接種被害/予防的介入

<ら>
ライン/リーダーシップ/リエゾン精神医学/理学療法/理学療法士/リスクマネジメント/リハビリテーション/リビングウイル/リファーラル/療養病床/臨床疫学/臨床決断学/臨床研修指定病院/臨床心理士/臨床倫理/臨床倫理4分割法/レセプト審査/老人医療/老人性痴呆/老人福祉法/老人保健法/労働安全衛生規則/労働安全衛生法/労働基準法/労務管理/老老介護/ロールプレイ

<わ>
ワークショップ