書籍詳細

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プライマリ・ケア実践ハンドブック

編集=日本プライマリ・ケア学会

B6判

306頁

ISBN978-4-86034-524-2

2004年04月発行

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編者代表 小松 真(日本プライマリ・ケア学会会長,小松医院院長)
監  修 生坂 政臣(千葉大学医学部附属病院総合診療部教授)
編  集 吉山 直樹(新潟県立看護大学教授)
山田 隆司(地域医療振興協会地域医療研究所)
石橋 幸滋(石橋クリニック院長)

 

発刊にあたって


このたび,日本プライマリ・ケア学会は,平成16年4月から始まる,医師卒後研修必修化を念頭に,より幅広くプライマリ・ケアを目指す医師の研修や診療に役立つよう,『プライマリ・ケア実践ハンドブック』を発刊いたしました。
プライマリ・ケアは,WHOが1978年にプライマリ・ヘルスケアに関する宣言の中で「Health for all-すべての人びとに健康を-」と提言してから,今では世界の共通の言葉となっています。わが国ではプライマリ・ケアをより幅広くとらえ,今では「地域を基盤として,継続的に展開される全人的かつ包括的な保健・医療・福祉の統合された活動」として認識されています。この活動の中核を担うのが,地域で日常国民の身近で診療を行っている医師集団でしょう。欧米では早くからプライマリ・ケアの重要性を認識し,専門医指向への反省として,一般医・家庭医の養成に力を注いできた経緯があります。
わが国でも最近専門医と対比してプライマリ・ケア機能を有する医師の重要性が指摘されるようになり,今回法改正に伴って医師の卒後研修が義務化されるようになりました。2年間でプライマリ・ケアにおける基本的診療能力を習得するとうたい,特に後期1年では地域での保健・医療・福祉に関する研修を行うことになっており,診療所での実習も含まれます。
このような背景の中で,プライマリ・ケアの現場,特に日常遭遇する疾患や健康問題,社会的問題などに常に手に持って,即応できるハンドブックが必要であると,この本が企画されました。プライマリ・ケア実践のための基礎知識からプライマリ・ケアの視点での患者への対応など基礎と応用面で活用できるよう,特によくある愁訴から問題点を解決する方法が詳述されているのが本書の特徴で,必ずやプライマリ・ケア医に役立つものと思います。卒後研修の現場はもとより,多くの医師が座右の一冊として御活用下さいますようお願いいたします。
発行に当たって多大の御努力を頂いた多くの執筆者,編集委員の皆様に深く感謝の意を表します。また,出版に当たって格段の御努力を頂いたエルゼビア・ジャパン株式会社の皆様に厚く御礼申し上げます。

2004年3月
日本プライマリ・ケア学会 会長
小松 真

 

監修のことば


このたび日本プライマリ・ケア学会から,第一線で活躍中の医師を執筆陣にそろえた実践ハンドブックが上梓されました。本書はプライマリ・ケア診療に必要な情報を厳選し,現場ですぐに役立つ1冊となるように企画されているのが特徴です。
本書はPart1でプライマリ・ケアの基礎知識を解説した後,五つの章に分けられたPart2に続きます。Part2第1章は,よくある愁訴10項目について述べてあり,第2章の“急性疾患各論”は一般診療所での遭遇頻度順に記載してあるので,通読しておけば日常的な急性疾患の概略を把握できるでしょう。
Part2第3章の“慢性疾患”と第4章の“知っておきたい知識”では,行動変容の解説に重点が置かれています。わが国の疾患構造は,医療者による治療が主体であった急性疾患から,患者自身が治療の主体とならなければ改善が難しい慢性疾患に移行しています。それゆえ,患者を治療へ積極的に参加させる行動変容のためのアプローチは,プライマリ・ケア医にとって今後ますます重要なスキルになりますが,本書ではその具体的な方法を解説してあります。
Part2第5章は,プライマリ・ケア医として要求される頻度の高い救急処置について,そろえるべき器材を含めて解説してあり,Part3では日常診療に役立つ情報源をまとめてあります。また各著者の診療におけるノウハウを,“私の工夫”としてコラムで垣間見ることができます。さらに近年,各学会から矢継ぎ早に世に出されているガイドラインも随所で紹介されています。
近年,プライマリ・ケアという言葉を耳にする機会が増えました。しかし,その意味するところは必ずしも明確に伝えられていないようです。本書によりプライマリ・ケアの理念だけでなく,その実践についての理解が深められることを期待しています。

 2004年3月
千葉大学医学部附属病院総合診療部 教授
生坂 政臣

 

目次

Part 1 プライマリ・ケア実践のための基礎知識
1 プライマリ・ケアとは
2 外来患者のプライマリ・ケアにおける留意点
3 在宅患者のプライマリ・ケアにおける留意点
4 プライマリ・ケアにおける連携の留意点
5 プライマリ・ケアに役立つコミュニケーションのコツ
Part 2 プライマリ・ケアの視点での患者への対応
1.よくある愁訴
1-1 咳
1-2 発熱
1-3 頭痛
1-4 全身倦怠感
1-5 腹痛
1-6 下痢
1-7 便秘
1-8 めまい
1-9 嘔気・嘔吐
1-10 不眠
2.よくある急性疾患
2-1 急性上気道炎
2-2 インフルエンザ
2-3 接触性皮膚炎
2-4 急性胃腸炎
2-5 急性扁桃炎
2-6 白癬症
2-7 鉄欠乏性貧血
2-8 不整脈
2-9 気管支炎・肺炎
2-10 急性尿路感染症
3.よくある慢性疾患
3-1 高血圧
3-2 虚血性心疾患
3-3 慢性心不全
3-4 気管支喘息
3-5 慢性呼吸不全
3-6 消化性潰瘍・逆流性食道炎
3-7 慢性肝炎・肝硬変
3-8 糖尿病
3-9 高脂血症
3-10 痛風・高尿酸血症
3-11 甲状腺機能障害
3-12 慢性腎炎・ネフローゼ症候群
3-13 脳血管障害(脳卒中後遺症)
3-14 パーキンソン症候群
3-15 老年期痴呆
3-16 うつ病
3-17 不安障害
3-18 アトピー性皮膚炎
3-19 変形性関節症
3-20 腰痛症
3-21 骨粗鬆症
3-22 関節リウマチ
3-23 花粉症
4.知っておきたい知識
4-1 予防接種
4-2 育児指導
4-3 小児虐待
4-4 性感染症
4-5 更年期障害
4-6 禁煙指導
4-7 食生活・栄養指導
4-8 運動指導
4-9 ストレスコントロール指導
4-10 薬物・アルコール依存症
5.よくある救急処置
5-1 熱傷
5-2 外傷
5-3 眼内異物
5-4 鼻出血
5-5 異物誤飲
5-6 異物誤嚥
5-7 骨折・捻挫
5-8 薬物中毒
5-9 アナフィラキシーショック
Part 3 プライマリ・ケアに役立つ情報検索手法
1 知っておきたい情報源
●コラム「私の工夫」
1.医の心
2.クスリの見本
3.医療環境の工夫
4.上部消化管内視鏡検査の工夫
5.体温表の活用
6.痛くない注射手段
7.子どもの咽頭を診るコツ
8.子どもを診察するコツ
9.六つのコツ
10.六つの工夫
11.栄養士による生活指導
12.告知の準備
13.カロリー勉強のための食事会
14.ひたすらマメに良医を演ずる
15.皮膚をきれいに縫合するコツ
16.母親へのアドバイス
17.子ども用の待合室を造る
18.爪に穴を開ける
19.簡単な自家製電子カルテ
おわりに