書籍詳細

解剖生理学

著=坂井建雄(順天堂大学医学部教授)

B5判

205頁

ISBN978-4-86034-351-4

2000年04月発行

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要旨

 解剖学と生理学は,医学を学ぶ人たちの基礎中の基礎である人体の構造と機能を学ぶことなくして,人間の身体を扱う医療という仕事に携わることは,不可能であるといってもいい。解剖学と生理学は,我が国ではこれまで別々の教科書を使って教えられることが多かったが,欧米では人体の構造と機能を総合的に理解するという立場から,解剖生理学として一つにまとめたものがいくつか出版され,コメディカルの教育の場で広く用いられている。最近,そのような教科書のいくつかが翻訳され,日本語として読めるようになってきた。しかしこれらはいずれも欧米での文化や風土,さらにそれらの国でもコメディカルの実状に合わせたもので,我が国でのコメディカルの教育現場に持ち込んだ際に,いささかの違和感を感じないものでもなかった。また「解剖生理学」と銘打った日本人による書き下ろしの教科書もいくつかあるが,解剖学と生理学が分離していたり,多数の著者による分担執筆で人体の構造に関する記述と機能に関する記述がかみ合わなかったりとか,一冊の教科書としてのまとまりに不安を感じさせるものが多かったように思う。この『解剖生理学』は,そういったコメディカルの解剖生理学の教科書の現状を踏まえ,人体の構造と機能を統合的に,かつ我が国のコメディカルの教育の実状を意識して書いたものである。翻訳でもなく分担執筆でもなく,私一人で執筆したために,この本のまとまりや見通しは良くなったと思うが,予期せぬ間違いや落とし穴もあるのではないかと案じている。読者の方々からの声をお聞きして,正確でかつ使いやすい教科書として育てていきたいと願っている。

 


 

目次

[1]細胞と組織

1.細胞の構造 /2.細胞の活動/3.組織


[2]神経系

1.神経系の構成と役割/2.中枢神経系/3.末梢神経系/4.自律神経/5.神経伝導路


[3]循環器系

1.循環器系の構成と役割/2.心臓の構造/3.心臓の活動/4.血管系の構造 /5.血管系の主な枝/ 6.血液の循環/7.リンパ系と免疫


[4]呼吸器系

1.呼吸器の構成と役割 /2.上気道/3.下気道と肺/4.呼吸器の構造/5.呼吸器の活動/6.ガス交換/7.肺の循環


[5]消化器系

1.消化器系の構成と役割/2.口腔と食道/3.胃/4.小腸/5.大腸 /6.膵臓/7.肝臓/8.消化器の構造/9.消化器の活動


[6]泌尿器系

1.泌尿器の構成と役割/2.腎臓の構造 /3.腎臓の活動/4.排尿路


[7]生殖器系

1.生殖器系の構成と役割/2.男性生殖器/3.女性生殖器/4.生殖器の発生/5.個体発生


[8]内分泌系

1.内分泌系の構成と役割/2.下垂体/3.甲状腺と上皮小体/4.副腎/5.生殖器のホルモン/6.膵内分泌部/7.消化管内分泌細胞/8.腎臓血管系のホルモン/9.中枢神経系のホルモン/10.局所ホルモン/11.胸腺ホルモン


[9]体液・血液

1.体液の成分と役割/2.血液の成分と役割


[10]感覚器系

1.感覚と感覚器/2.皮膚/3.眼/4.耳/5.鼻/6.舌


[11]運動系

1.骨の形状と構造/2.骨の成分と成長/3.関節/4.骨格筋/5.筋の収縮力/6.運動器の局所解剖


付 解剖学的用語